小さな大陸、シチリア❸
2018.03.29
『ティファニーで朝食を』で知られるアメリカ人作家トルーマン・カポーティもシチリアを愛した人の一人でした。『犬は吠える』というエッセー集に収められた「フォンターナ・ヴェッキア」にはシチリアの1年が美しく綴られています。 〈シチリアの春は一月にはじまる。それは積みかさなって花の王冠に、あらゆるものが花咲く魔法使いの庭園になる──川辺にはハッカが咲き、枯木には野生のバラが花輪をかけ、とげとげしいサボテンまでやさしい花を開く。四月は、(略)エトナ山頂の雪のように輝いている。子供たちは聖者の祭日にそなえて花を摘みながら山腹を登り、漁師たちは真珠色の魚(ペッシェ)の籠を背に通りすぎなが...