SALON COLUMN

香りとワインと今日と昨日

2019.11.11



香りとワインと今日と昨日


「香りという無限の組み合わせを感じる嗅覚というものは動物をそれ自体で喜ばせるものである」レオナルド・ダヴィンチ



今回は香りのお話し。神の雫主人公の神咲雫も犬並みの嗅覚と称されていますがやはりワインで存分に感じたいのは香りですね。もちろんこれから自分の体内に入る液体が舌の中でどう踊るのか、どこまでのボリューム感があり果実味が襲ってくるのか、わくわくするような味わい。。。も大切ですが今回は香りについて書こうと思っています。ただ香りの物質から化学的にチオール系物質がどうとか、テルペンがどうとか、、、
ネロール、ゲラニオールからの薔薇の香りが、リナロールでマスカットオブアレキサンドリアやゲヴェルツトラミネール、ネッビオーロにどうとか話しても面白くないので。。。ここはやはり神の雫!ワインの香りを嗅いだ瞬間に、別世界に、パスポートなしで飛んでいける。そんなお話しです。



ちょうど2年前の2017年12月9日東京 青山のスパイラルホールで行ったイベント 「ぶどうのことば」。

株式会社アロマビット様とアートの世界から有月様、私が所属している日本ワインショップ遅桜のイベント「アート×ワイン×テクノロジーの融合」 。
古今東西日本ワイナリー様を招いての香りのイベントを行いました。 アロマビット様の「においはみえる。」ニオイを可視化するセンサー「aroma bit」 を用いてのワインと香りとの合同企画です。 「aroma bit」は何か・・・。



原理は鼻と同じ。 センサーがニオイをデジタルデータ化。 これまで人の感覚でしか判断できなかったあらゆるニオイが、 目で見えるようになりました。
例えば、スマートフォンに「aroma bit」が搭載されれば、 あなたがいま食べているおいしい料理を、 ニオイもいっしょにSNSに投稿できる。 例えば、香水に「aroma bit」をかざせば、 あなたが遠く離れた場所にいても、そのニオイを知ることができる。
ニオイが見える世界には、まだ見ぬ可能性が広がっています。



世界初ではないでしょうか。香りの可視化。日常で様々に転がっている香り。臭いが目に見える。彼女や彼氏、奥様や旦那様のビジュアル。大好きなお料理やお気に入りの風景。山や川や海。アスファルトやビル群。星空やサンライズ。
目に見える景色や情景をシャッターを切ったかのように香りが形になる。将来が楽しみなテクノロジー。



香りってなんだろう。普段生きている時にあまり気にした事がないが生きている。
生ゴミの臭い、電車の中のおじさんの加齢臭。すれ違った時の女性の強すぎる香水。排気ガスの臭いやタバコの煙。その他にもトイレやシャンプー、ディナーのお料理、酒臭い臭さやコンビニの空調の臭い。おかえりなさいのペットの匂い、冷蔵庫の乾燥した乾いた匂いに自分のベットの枕の匂い。隣に寝ているその人の匂い。。。
朝起きてから寝るまでに日常には色々な香りが存在しています。口で生きするより意識して鼻で息すればなにか香りと一緒に違った世界が広がるのかな。



ソムリエ業界の中にはワインを表現するベーシックな香りのアロマパレットと言うものがあります。例えばフルーツはレモン、オレンジ、桃やライチなど。お花はスイカズラ、リンデンなど。その他にも火打石、カシスの芽、タールやパン、ナツメグやクローブ、マッシュルームや除光液などなど。基本的な香りを世界の人々と共通に語り合えるようにソムリエは覚えております。例えば日本のソムリエがドイツのソムリエに「この赤ワインは醤油のニュアンスと味噌のような...。」と言っても中々通じないですよね。
これを防ぐと言うか共感できるようにアロマパレットから語り合う言わば共通言語のようなものがアロマパレットです。



でもしかしワインの香りの表現は自由!!「舞茸の香りだ!」「昔ローマに行った時....。あの時食べたジェラートの香り」「南フランスの風の匂い」。難しく考え ても査定している訳ではないし、表現は自由なのですね!そんな世界を漫画と共に教えてくれたのが神の雫です。そのワインを嗅いだ瞬間あの曲が流れたりトリップする。



この神咲雫は今何を感じているんだろう。。。



映画「パフューム」では香水の香りに魅了された主人公が猟奇的でありながら自分の求める匂い、香りや究極の香水の香料を求めて人々を魅了しながら生きる映画。 筒井康隆さんの映画「時をかける少女」はラベンダーの香りでタイムスリップ。
昔話しの浦島太郎も竜宮城でもらった玉手箱を開けた瞬間に。。。
浮世絵の「死絵」は歌舞伎役者さんがお亡くなりになられた時に書かれる絵でよくお香の煙が立ち昇るさまが描かれています。においは今と死後を結びつける。。。



においは「にほひ」古くは「丹穂ひ」「丹秀ひ」と書かれていてこの「丹」は赤と言う意味です。「穂、秀」は「わきでてくる、のびてくる」の意味で辞書で調べると実はにおいは「香りかぐわしいもの」「赤い」「光」「色」と言う意味です。においは鼻だけでなく五感全般で感じる。かぐや姫は「かぐわしいほど美しい。光り輝いて、赤くて燃え立つような姫だった」。素敵ですね。

雨のにおい。ギリシャ語で石のエッセンスがペトリコール。ふった雨の後のにおいがジオスミン。街に雨が降った瞬間あなたは別世界にきたのかも。



プルースト現象とも言われる匂いを嗅ぐと記憶が蘇る。僕は伽羅を嗅ぐとおばあちゃん家の仏壇の前でミニカーで遊んでた記憶がよみがえり、畳の匂いを嗅ぎ銀杏を嗅ぐと死んだおじいちゃんを思い出します(よくおじいちゃんと銀杏拾って畳の上で食べてました(笑 おじいちゃんは焼酎飲んでたので酒臭かったです)。ブルガリの香水を嗅ぐとまだ20歳の頃の若々しい自分を思い出し、サンタマリアノヴェラの香水を嗅ぐと当時付き合っていた女性を思い出します。駅ですれ違った女性からその香りがすると振り返ってしまいます。香りと記憶と共にフリカエル。

神咲雫や遠峰一青がワインを嗅いだ瞬間にふわっと情景が浮かび感じているのは、そのワインで何か思う事とか軌跡や未来の想像があるのかもしれませんね。

あなたのお気に入りのワインはなんですか?

そのワインはあなたにとって大切な思い出や記憶なのかもしれません。ワインの香りで一緒に色々な世界に行ってみましょう。



大山圭太郎

現在 西麻布 Wine Bar綺羅星や 西麻布、自由が丘両店舗で日本ワインショップ遅桜 のマネージャー兼ソムリエ。
過去に都内レストランやバー業態でソムリエを経験後、 ワインショップやワイン関連事業の立ち上げやバイヤー、 監修を担当。ワインでも特に香りに興味があり スパイスやハーブ、香水やアロマテラピーの資格も所持。
ワインと神の雫をこよなく愛するソムリエ。



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