SALON COLUMN

もう一つの高貴な泡、フランチャコルタ➓

2018.12.31

058

もう一つの高貴な泡、フランチャコルタ➓

フランチャコルタの魅力を紹介してきたシリーズの最終回は、彼の地のローカル・フードとワインツーリズムについて述べたいと思います。ミラノから1時間ちょっとのドライブで訪ねることのできるフランチャコルタは、アルプスへと繋がるカモニカ渓谷とイゼオ湖が作り出す絶景に恵まれ、格好のバカンス・ディスティネーションでもあります。

ロヴァート牛のマンツォ・アッローリオ。

地元食材の代表格は、ロヴァート村の牛肉とイゼオ湖の「湖の幸」。ロヴァート牛の料理でぜひ試したいのが「マンツォ・アッローリオManzo All’Olio」です。腰部の肉の塊をたっぷりのオリーブオイルと野菜、レシピによってはアンチョビも加えて煮込み、薄切りにしたものに、ブロートを煮詰めたソースをかけ、ポレンタを添えて供する料理です。比較的あっさりしているので、フランチャコルタのロゼや軽めの赤ワインを合わせるといいでしょう。フランチャコルタの栄光の陰に隠れてしまっていますが、この地方にはクルテ・フランカDOCロッソという赤ワインがあり(品種はカベルネ・フラン等のボルドー品種)、派手さはないけれど、それはそれで滋味のある良いワインです。

淡水イワシ。「干しイワシLa Sardina Essiccata」の名でメニューに載っている。

「湖の幸」で必食なのは、淡水イワシ。海のイワシとは別物ですが、湖水地方では「イワシSardina」で通っています。漁師は夕方に網を仕掛け、夜明けに引き揚げます。獲れたての淡水イワシは丸2日間塩漬けにされた後、日陰に吊るされ、1カ月ほど干されます。その後、プレスして余分な脂肪を抜き、オリーブオイルにつけて保存します。食べるときは、これをそのまま井桁状に皿に盛り、ここでもポレンタを添えて供します。味は、オイルサーディンを少しあっさりさせた感じで、ブリュットのフランチャコルタを合わせると、最高のアッビナメント(マリアージュ)になります。

モンテイゾラからイゼオ湖の夕景を眺める。

加工に手間がかかる割に儲けが少ないことから、淡水イワシの漁をする漁師は減っているそうです。今のうちに食べておかないと、食べられなくなってしまうかもしれません。もう一つ、コレゴーネ(Coregone)という鮭の仲間がポピュラーです。身は柔らかく、味は淡白で上品。繊細なサテンと合わせたくなります。

〈ディスペンサ・パニーニ・エ・ヴィーニ〉のランチからコレゴーネの料理。

レストランでお勧めなのは、〈グイド・ベルルッキ〉のすぐ近くにある〈ドゥエ・コロンベDue Colombe〉。ミシュラン1つ星。元教会を改修した建物も趣があります。料理は郷土料理をモダンに昇華させたもの。料理に合わせてグラスで数種類のフランチャコルタを楽しむこともできます。

〈ドゥエ・コロンべ〉の入り口 。

窓からの借景も美しい。


シグネチャー・ディッシュはマッシュした紫芋にスカンピの刺身を載せたいもの。ソースにフランチャコルタを使っている。

地元の人がランチに勧めてくれたのが〈ディスペンサ・パニーニ・エ・ヴィーニDispensa Panini e Vini〉。ここにはレストランもありますが、オステリアのメニューが我々の胃袋にはちょうどいいでしょう。ワインショップやデリも併設しているので、フランチャコルタや加工肉など地元の食品を買い求めることもできます。


モンテイゾラの湖畔に並ぶレストラン。

最後の夜は、イゼオ湖に浮かぶ島、モンテイゾラに船で渡ってディナーを楽しみました。モンテイゾラには湖面に張り出したテラスを持つレストランが軒を連ねています。カモニカ渓谷の夕景を眺めながらグラスを傾けたひと時は忘れ得ぬ旅のクライマックスになりました。

誕生日会で集まった地元の女性たち

Photographs by Yasuyuki Ukita



――――――――――  おすすめ記事一覧  ――――――――――

―――――― おすすめ記事一覧 ――――――



“C”をめぐる冒険❾


“C”をめぐる冒険❽



PAGE TOP
8,000円(税抜)以上ご購入で送料無料キャンペーン中