SALON COLUMN

サントリーニ島のシーフードとアシルティコ

2018.04.18



サントリーニ島のシーフードとアシルティコ

20年ぶりのギリシャ取材。前回はギリシャのあちらこちらを回ったが、今回は比較的コンパクトな旅程で、ソムリエや同僚ジャーナリストとともにネメア、パトラス、そしてサントリーニと3つのワイン産地を訪ねた。

 

ギリシャは紀元前2000年からワインが造られていたとされ、世界でも古い歴史をもつワイン生産国のひとつだ。しかしながらワイン造りの近代化が始まったのは、EUに加盟した1981年以降のこと。前回取材の90年代半ばはギリシャ伝統の松ヤニ入りワイン「レツィーナ」に混じり、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった国際品種が幅を利かせていたと記憶している。

 

伝統的なワイン生産国が世界から注目を浴びる過程において、一時的に国際品種の洗礼を受けるのはイタリアやスペインでも見られた光景。一種の通過儀礼であって、その後は国際品種の醸造で得た発酵温度の管理や小樽熟成といった近代的醸造技術を地品種に応用するのもまた共通である。

 

したがって、今回のギリシャ取材ではカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネのワインが出て来ても関心は薄く、むしろネメアのアギヨルギティコ、パトラスのロディティス、サントリーニのアシルティコといった地品種にツアー参加者の目が集中したのは言うまでもない。

 

その中から今回は、サントリーニのアシルティコと島の魚介料理について語ることにしよう。



サントリーニはエーゲ海に浮かぶキクラデス諸島最南部の群島。もとは三日月型をした本島のほか、北西にポツンと位置するティラシア島やその間にあるネア・カメニ、パレア・カメニ、アスプロニシなどの島々と地続きの、丸い形をしたひとつの島だった。それが紀元前1628年の噴火で陸地が陥没。現在のような形になったという。

 

この島で栽培されているブドウ品種がアシルティコで、枝葉をくるくる巻き込む「クルーラ」と呼ばれる籠状の仕立て法が超ユニーク。強い日差しと強風からブドウの房を守るためだが、ぱっと見はまるで鳥の巣だ。

 

サントリーニ島随一の造り手が「イエア」のヤニス・パラスケヴォプロス。アテネ大学の醸造学部で教鞭をとるほどの理論派で、米国のワイン雑誌「ワインスペクター」が毎年選ぶトップ100生産者の常連でもある。

 

噴火で生じた砂質の火山灰を基礎に、溶岩や軽石、酸化鉄を含んだ石や硫黄を含んだ石が混じる土壌で育つアシルティコは、鮮烈な酸味とミネラル感が特徴。これが島の魚介類とじつによく合うのだ。

 

ヤニスとともに海辺のレストランでランチ。出てきた料理はアンチョビに似た小魚のマリネ、グリルしたタコ、同じくグリルしたイワシ、衣をつけて揚げたカラマーリ……。多くの皿がオリーヴオイルとレモン、それにイタリアンパセリというシンプルな味付けながら、どれを食べてもじつに美味しい。

そしてアシルティコ。相性のポイントは酸味やミネラル感もさることながら、むしろ後口の塩味にあると思う。エーゲ海の塩分濃度は地中海でも濃いほうで、その潮風がブドウに吹き付けるのだからワインに塩分が含まれたとしても、少しも不思議ではない。



 

あるシェフの言葉を借りるならば、これぞまさに「土地の密約」と呼ぶべきマリアージュ。もちろん、日本のシーフードとも相性は抜群なはずだ。



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