SALON COLUMN

チェコ・ワインを少しだけ❺

2018.02.15

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チェコ・ワインを少しだけ❺

チェコ・ワイン報告、ここからは、首都プラハからのレポートです。国民一人当たりのビール消費量はチェコが世界一であることは、前にも述べました。プラハでも、おいしいビールが飲める場所はすぐに見つかります。ツーリストたちももっぱらビールを飲んでいるようでした。しかし、プラハっ子たちはちゃんとワインも飲んでいるのです。チェコ人のワイン消費量は日本人の平均の約7倍であること、チェコ産ワインは自国消費が約8割であるということもすでにお話ししたところです。


オールドタウン・ブリッジ・タワーからカレル橋とプラハ城を望む。

調べてみると、プラハ市内には、国産の良質なワインをたくさん集めたこだわりのワイン・バーが何軒かあるようでした。中でも評判の良い〈ヴィノグラフ〉という店を覗いてみましょう。


〈ヴィノグラフ〉の外観。


壁一面を埋め尽くすボトルの数は900本。

広々とした店内に入って、まず度肝を抜かれたのは、奥の壁一面を埋めるようにして作り付けられたワインラックでした。その数約900本。チェコ産のワインだけで130アイテムが揃っているとのこと。マネージャー兼ソムリエのオンジェイ・ヴェネラさんによると、オープンしたのは2013年。じつはここは3店舗ある姉妹店の一つ。1号店は、ツーリストなら誰もが訪れるカレル橋の袂に09年に開業。モラヴィアのワインの魅力を紹介するというコンセプトが受けて、瞬く間に人気店になったそうです。早速ヴェネラさんの導きで、チェコ・ワインの最前線を体験させてもらうことに。


マネージャーのヴェネラさん。手にしているのは「ヴェルトリン2015」。

最初に登場したのは、モラヴィア地方の銘醸地、パラヴァの丘のリスチー・ヴルフ(“狐の丘”という意味)という単一畑のグリューナー・フェルトリーナーで造られた「ヴェルトリン2015」。ローズマリーなどのドライハーブにライチの甘い香りが交じります。酸がきれいでリフレッシング。蠱惑的な甘みが感じられます。聞けば、ブドウの3分1がボトリティス・シネレアによって貴腐しているのだそうです。土壌には、シャブリで見られるのと同様のキンメリジアンが混じっているとのこと。しょっぱなからチェコ・ワインの力量を存分に示す、満足度の高いワイン。この後の流れに期待が膨らみます。参考までに、店でのボトルの価格は588CZK(約3070円)でした。


「カトル・キュヴェ(=4つのキュヴェ)」は使用4品種を表す。

2杯目は上品な玉ねぎ皮色をしたワイン。しかし、ロゼという打ち出しではないようです。「ドヴラ・ヴィニツェ  カトル・キュヴェ2014」。シャルドネ、ピノグリ、ピノブラン、ピノノワールのブレンド。ブドウはビオディナミ(神秘思想家ルドルフ・シュタイナーの理論に基づく有機農法)で栽培。ヴェネラさんによると、チェコでも近年、ビオディナミの実践者は増加していて、現在ボヘミア地方の1軒を含め、チェコ全体で約30軒の生産者が取り組んでいるとのこと。ワインはドライトマトや白系スパイスの香りがユニーク。味わいは梅ジュースを思わせます。酸化的な造りを感じさせる風味がありますが、ピュアな果実も失っていません。やや辛口のロゼというふうにカテゴライズできるでしょうか。これまた良いワインです。この造り手は、試行錯誤の果てに、発酵中のワインにモスト(未発酵果汁)を添加するという手法にたどり着き、それを採用しているとのこと。70年代にドイツの白ワイン造りで見られた手法です。どんどん、興味深い話が出てきます。店での価格は575CZK(約3000円)。

(つづく)


〈ヴィノグラフ〉のスタッフ。ワイン・バーとして紹介したが、食事も充実している。


Photographs by Tiasuke Yoshida



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