SALON COLUMN

高校同窓会でのマリアージュ

2018.02.14



高校同窓会でのマリアージュ

10代下には俳優のムロツヨシがいたらしいわが出身高校の先輩から、同窓会主催の食事会でワイン選びと解説の依頼が来た。昨年も同様の催しをしたけれど、店との連携がうまくとれずに不完全燃焼。しかも酒量が足りなかったのか、そのお店でもっとも安いワインを勝手に注文する人まで出る始末。せっかく一流のプレーヤーを集めて演奏会を開いたのに、最後は素人のカラオケで締めくくられたような、ほろ苦い気分を味わった。

今回の会場は自分より8代上の先輩が横浜の野毛で経営するレストラン「グランキャトル」。先輩は以前、輸入元に勤めておられた方なので、ワインのこともよくご存知ときている。ありがたいことに2種類のシャンパーニュをお店から提供までしていただき、前回のリベンジを果たすべく、ワインのセレクトには気合を入れた。

以下が料理との相性を考え、私がセレクトしたワイン。万全を期すなら一度試食のうえで選ぶべきところだが、残念なことに時間的余裕がなく、先輩とのメールのやりとりで済ませた。



まずアペリティフとして「ポメリー」のブリュット・ロワイヤルで乾杯。その後、前菜の盛り合わせが登場である。いぶりがっことクリームチーズ、ラタトゥイユ、ブリの炙り、穴子のフリッタータ、パテ・ド・カンパーニュ。魚もあれば肉もあり、さらに野菜や乳製品まで。酸味、甘味、塩味も入り混じる。こうした盛りだくさんの要素を備えたひと皿に、1本のワインを選ぶのはとても難しい。ところがこの会の2週間前にぴったりのワインと出会った。モンテヴェトラーノの「コーレ」だ。



イタリアはカンパーニャ州のプレミアムワイン「モンテヴェトラーノ」が、2011年から造り始めたよりお手頃レンジ。。エノロゴはモンテヴェトラーノと同じく巨匠リカルド・コッタレッラが務め、赤と白の2種類がある。選んだのはフィアーノとグレコをブレンドした白のほうだ。

フィアーノのエレガントな香りと豊かなボディ、グレコのピュアな酸味とタイト感がバランスよく組み合わさり、とても汎用性の高いワインに仕上がっている。ひとつ引っかかったのは、いぶりがっこと炙りの燻香をどうかわすか。樽香のするワインを選ぶという手もあったけれど、その樽香がかえってほかの料理の邪魔をするリスクが高いのと、次のワインへのつながりを鑑み、ここでは樽香のあるワインは避けた。



ふた皿目はスモークサーモンとカッテージチーズ、アボカドのサラダ。無難にソーヴィニヨン・ブランを選びつつ、銘柄はニュージーランドの「フォリウム」。そのリザーヴにした。フォリウムの醸造家は日本人の岡田岳樹さんである。リザーヴにした理由は、スタンダードと土壌が異なり、粘土が含まれるリザーヴのほうがよりボディが厚く、チーズやアボカドのような粘性のあるものと相性がよいと考えたためだ。





3皿目はソーセージ・ポテト入りケサディーヤ。ケサディーヤとはメキシコのファーストフードで、トルティーヤにチーズを挟んで焼いたものらしい。今回はチーズのほかにソーセージとポテトも挟んである。じつは最初、この料理に合わせるワインを失念していた。まあ、フォリウムを引っ張っても、次の赤ワインを早めに出しても間に合いそうだが、もう一種、シャンパーニュをご協賛いただいてることを思い出した。「パイパー・エドシック」のエッシェシエル・キュヴェである。



エッセンシエル・キュヴェは黒ぶどうの比率が高いことに加えて熟成期間も長め。ソーセージ、ポテト、チーズといったちょっと重めの食材にも十分対応できそうだし、焼き上げたトルティーリャのクリスピーな食感とシャンパーニュの弾ける気泡がマッチしそうだ。



4皿目は魚介トマトソースのタリアテッレ。先輩に確認したところ、トマトソースはケチャップを使った甘いタイプではなく、きちんとトマトから仕上げた酸味の効いたタイプ。そのパスタとくれば王道のサンジョヴェーゼがすぐ思いつく。サンジョヴェーゼといったらキャンティだが、それでは芸がない。魚介のパスタなので山のワインであるキャンティには抵抗がある。かといって、海寄りのマレンマのサンジョヴェーゼでは酸味が足りない。なにかよいサンジョヴェーゼはないものかと悩んでいたら見つかった。コルシカ島のニエルッチョだ。



コルシカ島は1755年にフランス領となるまでジェノヴァの支配下にあった関係で、サンジョヴェーゼも植えられている。ニエルッチョはコルシカにおけるサンジョヴェーゼの呼び名である。海に面したコルシカならではのヨード感と塩味、それにニエルッチョのピュアな酸味、ミディアムボディのストラクチャーは、このパスタにぴったりにちがいない。ということで、「ドメーヌ・ペロ・ロンゴ」のリオン・ド・ロカピーナをチョイス。



メインは牛肉の赤ワイン煮込み、つまり、ブフ・ブルギニオンである。今回のペアリングではゲストの大半がビギナーなことから、品種は王道、産地で遊びを加えると決めていたので、当然、品種はピノ・ノワールである。ただし、ブルゴーニュではなくオレゴンのピノ・ノワールにした。なかなか面白いオレゴンのピノ・ノワールが手配できたからだ。



そのワインは「ケン・ライト・セラーズ」のカナリー・ヒル・ピノ・ノワール。昨年、ワイナリーのオーナーでワインメーカーのケン・ライトが来日し、テイスティングセミナーを開催した際、単一畑ものの中でもっともブルゴーニュっぽいと感じたのがこのカナリー・ヒルだった。

カナリー・ヒルはエオラ・アミティ・ヒルズAVAにあるぶどう畑で、火山性の土壌のため比較的果実味はしっかりしているが、ヴァン・ドゥーザ・コリドーから吹き込む冷たい風のおかげで真夏の暑さは和らぎ、酸味が十分保たれる。東向き斜面の畑ということもバランスのよさに貢献。エレガントな口当たりのピノ・ノワールだ。



さて、結果はいかに? 料理はきれいに召し上がり、ワインも空っぽになったこと、笑顔での歓談がその後も続いたことから、満足いただけたものと理解しているのだが……。




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