SALON COLUMN

台湾で稀少なワインを その1

2017.11.16

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台湾で稀少なワインを その1

ことの発端は今年6月に取材で訪れたポルトガル北部のワイナリーでウェイド・ワンさんと出会ったことでした。台湾から単身で来たというワンさんはメディアにワインについて書いているワイン・ライターであり、かつ、医師でもあるということでした。じつは去年あたりから、ヨーロッパ諸国のワイン産地でのミッションで、それまでの中国勢、香港勢に加え、台湾からのジャーナリストの姿が目立つようになったという印象を持っていました。

 

ポルトガル取材から戻って1カ月ほど経ったある晩、かねて約束していた初対面のKさんと東京・六本木のスペインバルで会って、食事をしました。札幌でワイン関係のビジネスを展開しているKさんは、ちょうどその日、台湾旅行から戻ってきたところでした。以下はKさんの話です。

「台湾のワイン・シーンはこのところ著しく進化しているようで、品揃えの良いワインバーもたくさん出来ていました。台湾でメンシア(スペイン北部の固有品種)のワインがグラスで飲めるなんて、信じられますか?」

僕も過去に2度台湾を訪れたことがありますが、最後の訪問からすでに10年ほど経っていて、すでに“浦島太郎状態”でした。が、以前訪台した際にも、本格的なワイン愛好家を紹介され、その人の家の地下に設けられた広大なセラーに並ぶ錚々たるコレクションを見せられて驚嘆したことがあります。Kさんの話を聞いて、僕はすぐにワンさんのことを思い出しました。彼から「台湾でもワインを造っているのを知っていますか?」と言われたことが強く印象に残っていました。

 

偶然というのは重なるものです。Kさんと会った直後、とあるメディアの取材で台湾に行く話が舞い込んできました。テーマはワインとは無関係でしたが、僕は台湾ワイン事情をチェックするために、滞在を1日だけ延ばすことにしました。さっそくワンさんに連絡を取りました。台北滞在最後の夜に彼の行きつけのワインバー兼ショップで落ち合うことになりました。

 


「エトワール」があるのは富裕層が多く暮らすエリア。

 


常連客には日本企業の駐在員も。

 


日本ワインとギリシャワインが並ぶコーナー

 

ワンさんとの約束の店「エトワール(星澈酒品)」は、高級住宅街として知られる民生社区にありました。タクシーから降り、降りしきる秋雨から逃れるようにして店の中に駆け込みました。店はびっしりとボトルの並んだラックと短いカウンター席とテーブル席1つで構成されていました。先乗りしていたワンさんや店主のアレン・リュウさんらとの挨拶もそこそこに︎、僕はワインラックのラインナップに吸い寄せられていきました。すぐに目に飛び込んで来たのは日本ワインとギリシャワインでした。続いてスペイン。ビエルソ(メンシア!)、プリオラート、ナバーラの名品・珍品が並びます。イタリアはシチリア物が多いようでした。目を丸くしている僕にワンさんが「リュウさんは固有品種のワインに特に力を入れているんですよ」と教えてくれました。ギリシャのクシノマヴロで造られたロゼ・スパークリングが抜栓され、ワイン会がスタートしました。

 

(つづく)

 


医師とワイン・ラインターの二足の草鞋を履くワンさん。

 

 

Photographs by Hiromichi Kataoka



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