SALON COLUMN

コルシカワインとビストロ・ブノワ

2017.11.06



コルシカワインとビストロ・ブノワ

フランスの中で今一番取材してみたいワイン産地はコルシカ。地中海に浮かぶこの島は、かつてジェノヴァ共和国が支配し、その後、コルシカの独立を抑える形でフランスが統治。1769年にフランス領となって以降はスペインのカタルーニャのような目立った分離独立運動こそないものの、コルシカ独自の文化が今も強く残っている。

 

ワインもまた例外ではなく、ブドウ品種はシャカレッロやニエルッチョなど土着品種が主体。ニエルッチョはしばしばイタリアのサンジョヴェーゼと同じ品種と言われるが、DNA的には同一であっても独自の系統という。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのサンジョヴェーゼ・グロッソみたいなものだろうか。

 

コルシカは2000メートル級の山々が聳え立つ島で、ブドウ畑は海岸線と山の間をなぞるように連なっている。パトリモニオとアジャクシオというふたつのAOCのほか、この島全体を包括するAOCとしてヴァン・ド・コルスがあり、このヴァン・ド・コルスに地理的名称のつくAOCが5つ。それから天然甘口ワインのミュスカ・ド・カップ・ド・コルスだ。ここで各産地について説明しだしたらキリがないので、そろそろ本題に進もう。

 

コルシカから生産者のミッションが来日し、青山の「ビストロ・ブノワ」でディナーとなった。残念ながら、アズミヌ(コルシカ風ポトフ)もブロッチュ(コルシカ名物のチーズ)もなかったけれど、来日した3名の生産者のコルシカワインに合わせてメニューは組み立てられたようだ。

 

 

最初の組み合わせはイノシシのテリーヌにテッラ・ヴェッキアの「クロ・ポッジアーレ・ルージュ2014」。スタートからずいぶんとボリューミーなうえ、イノシシは獣っぽさバリバリ。それに対してニエルッチョとシラーをブレンドしたワインは軽やかなで役不足が否めない。ところがイチジクとクルミのコンディマンと一緒に味わってみると、料理のクセの強さがイチジクの果実味でほどよくマスクされ、ようやく調和した。

 

 

 

次の料理は真鯛のオーブン焼き。野菜のグラティネが添えられ、トマトと魚介のソースでいただく。これに3種類の白ワインを合わせる。すべて品種はヴェルメンテイーノ。「クロ・ヴェントゥリ2015」のみ樽を使い、テラ・ヴェッキアの「クロ・ポッジアーレ・ブラン2015」とクロ・コロンビュの「コルス・カルヴィ・ブラン2016」はタンク醸造である。

 

オーブン焼きなので樽発酵のクロ・ヴェンテゥリがよいかと思えば、むしろバニラ香が邪魔をする。ベストマッチはクロ・コロンビュ。潮風の影響かそれとも花崗岩土壌の影響かは不明だが、ヨード感があり、かすかなホロ苦味をもつこのワインが最もきれいにまとまった。マロラクティック発酵をしないおかけげで酸味はフレッシュ。それがトマトの酸味とも調和したのだろう。

 

 

 

メインは仔牛とレモンのブレゼ。コルシカのハーブを効かせたニョッキが添えらている。ワインは「クロ・ヴェントゥリ・ルージュ2014」とクロ・コロンビュの「コルス・カルヴィ2015」。どちらもシャカレッロ、ニエルッチョ、カルカジョール・ネロのブレンド。

 

南仏のワインというと濃厚でアルコールも高く、重々しいイメージだが、少なくともこの日試した2つの赤ワインはそんなことはない。どちらも適度な凝縮感でフレッシュさも備えている。そして南仏のガリーグにも似た(コルシカではマキというらしい)ハーブの香りを伴う。したがってどちらの赤ワインも、レモンによって軽やかに仕上げられた仔牛のブレゼとも、ハーブを効かせたニョッキともきれいにマッチした。

 

 

 

来年はぜひコルシカ島にわたり、島の料理と島のワインとを合わせてみたいものだ。



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