SALON COLUMN

牛ステーキ

2017.09.19



牛ステーキ

牛肉のステーキというと、どんなイメージを持つだろうか。熱々の鉄板に乗ってくる適度に脂身のついたサーロインステーキ? あるいは、ホテルのダイニングで大きな皿の真ん中にソースを添えられて登場するフィレ・ステーキ?

 

ステーキの細かい歴史は割愛するが、アメリカでサーロインやリブロースを焼いて塩コショウや、グレービーソースを添えるシンプルなステーキが定番である一方、フランス料理においては複雑なソースが彩りを添えてきた。また、一言で「ステーキ」と括られるのではなく、様々な部位を中心に据え、それぞれに調理法が発達してきた。

 

例えば脂の乗った骨付きリブロースはコート・ド・ブッフと呼ばれ、大きな塊のままぶどうの枝で炭火焼きにするのがボルドー名物だ。味付けはシンプルに塩コショウ、そしてエシャロットのみじん切りをお好みで添えて。ワインはもちろんボルドー・メドックの赤ワイン! ワイルドで豪快な美味しさを楽しめる。ちょっとオシャレになると、味付けもただの塩コショウではなくエシャロットなど香味野菜の風味に手間を掛けて牛骨で取っただし汁「フォン・ド・ヴォー」、赤ワインを加えて煮詰めた「ボルドーレーズソース(ボルドー風ソース)」などが添えられる。いずれにしても、力強さを全面に押し出した料理だ。

 

一方、同じくステーキのイメージがあるフィレ肉は豪快に炭火焼きにすることはほとんどなく、鍋で熱したバターとともにゆっくりと火入れされたり、あるいは焼き色をつけた後、ポッシェと呼ばれる技法で茹でるように火入れされたりすることが多い。これはフィレ肉の繊細な味わい、食感の滑らかさを活かすために工夫された結果であり、当然、手の込んだソースが添えられる。

 

そう言えば、日本で高級なステーキの代名詞として一時期流行った「シャトーブリアン」というのはフィレの部位のひとつである。フランスのレストランでカルト(メニュー)を見ると、「シャトーブリアン」、「トルヌード」のように部位をきちんと書いてあることが多く、「牛肉のステーキ」などと一括りになっていないのがよく分かる。あわせて「ポッシェ」、「グリエ」などのように調理法、「ソース・マディラ」、「ソース・ペリグー」などのようにどんなソースが添えられてくるかもあわせて書いて有ることがほとんどで、この構成を理解すればレストランでも困らない。ちなみにモダン・レストランでは日本でもそうであるように「ブルターニュの風、大地と空の香り」などという雰囲気の料理名も見かけるようになっており、これだけはメートルをはじめとするレストランのスタッフに聞かないことには理解できない。ワインのマリアージュの難易度はそれ以上だ。聞くしかない。



――――――――――  おすすめ記事一覧  ――――――――――

―――――― おすすめ記事一覧 ――――――



ワイン造りのフィロソフィー その③ 富永敬俊氏


テロワールと天地人③


ワイン造りのフィロソフィー(その① 浅井昭吾 氏)


PAGE TOP
8,000円(税抜)以上ご購入で送料無料キャンペーン中