SALON COLUMN

漁師風

2017.09.12



漁師風

誰が考えたのだろうか、イタリア料理のネーミングは面白い。炭焼職人風、娼婦風、悪魔風・・。そんな中で日本でも人気が高いのは漁師風だろう。海鮮とトマトの相性がきっと日本人好みなのだ。

 

漁師風はペスカトーラ、あるいはペスカトーレと呼ばれることもある。これは単数形、複数形の違いで、料理を指す場合はペスカトーラということが普通だ。イカ、アサリやムール貝などの貝類、エビなど海鮮を具材に軽いトマトソースでまとめられ、スパゲッティか、ちょっと洒落たところではリングイネなどのロングパスタが絡んでいる。日本でよく見かける漁師風(ペスカトーラ)とは概ねこんなイメージだ。

 

以前、シチリアを訪れたとき、海鮮で有名なこの島で現地ならではのペスカトーラを食べたくなった。エビやカニ、ムール貝などの貝類も豊富。もちろん美味しいイカもとれる。きっと素晴らしいペスカトーラに遭遇するに違いない。そんな期待を持って漁港付近のトラットリアに足を向けた。

 

ところが・・・だ。あの慣れ親しんだスパゲッティのペスカトーラがメニューに載っていない。スパゲッティ・アッラ・ペスカトーラ。その名前を探すがない。どの店に入ってもない。リングイネ・アッラ・ペスカトーラなど、ほかのロングパスタのペスカトーラも載っていない。いや、正しく言うとペスカトーラはあるのだ。しかし、どの店でもメニューにあるのはペスカトーラのリゾットなのだ!「スパゲッティのペスカトーラは日本だけの料理なのか?」そんなことが頭をよぎる。

 

それでもどうしてもスパゲッティ・アッラ・ペスカトーラを食べたかった私は無理を言って作ってもらった。快く作ってくれたシェフだったが、「ここでは普通、ペスカトーラというばリゾットなんだ」と一言。郷に入れば郷に従え。ペスカトーラのリゾットも食べる。やはりリゾットが美味しかったのだ。



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