SALON COLUMN

イタリア料理は地方料理こそ面白い

2017.08.07



イタリア料理は地方料理こそ面白い

イタリア料理、あるいはイタリアン。日本ではこう一口で括られるレストランが多いが。しかし、イタリアの料理は郷土色豊かで、実にバラエティに富んでいる。様々な王家や貴族が地方を支配していたことからそれぞれの地方が独自色を持ち、地元愛豊かなイタリア気質とともに、とてもひとまとめには語れない。

 

イタリア南西部のティレニア海、イオニア海に囲まれ浮かぶシチリア。本土からは隔絶されたこの島(島といっても四国より広い)の名物には、いわゆる我々がイメージするイタリアの海鮮料理が多い。レストランのショーケースにはマリネしてアンティパスト(前菜)として食べられるイワシ(alici、アリーチと呼ばれるカタクチイワシ)や茹でた後サラダにされるタコ、グリルされる手長エビ、パスタに使用されるウニなどが並ぶ。それらが料理に仕立てられるときには、温暖な気候に育まれたレモンなどの柑橘、アーモンドがアクセントとなる。

 

セコンド・ピアット(メイン料理)で欠かせないのはpesce spade(ペッシェスパーダ)と呼ばれるメカジキだろう。こちらも日本では「メカジキのグリル」などの形で目にすることが多いが、現地ではトマトやケッパー、オリーブで軽く煮込んだ「煮付け」のメカジキがほとんどだ。そして地元の人は料理が魚だろうが肉だろうが細かいことを気にせず、最初から赤ワインで乾杯したり、好きなものを好きなように楽しむ。

 

 

一方、同じティレニア海に浮かぶサルデーニャ。ここもやはり四国より広い島なのだが、海鮮よりも肉料理が有名である。牛肉、豚肉、馬肉、そして羊肉に至っては、イタリア全土の大半の羊がサルデーニャにいると言われるほど。肉としてそのまま食べることもあるが、サルシッチャやサラーメなどに加工したり、彼らのミルクから作られるチーズも人気だ。

 

 

さらに海を渡り本土トスカーナにいけばアンティパストにサラーメを食べ、セコンドはフィレンツェのTボーンステーキ、「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」に代表されるようなストレートな肉のうまさに浸ることが出来るし、バローロで有名な北イタリア、ピエモンテではバーニャカウダや、牛肉の薄切り肉にツナのペーストをのせたヴィテッロ・トンナート、さらに肉の煮込み料理をゆっくりと楽しむ事ができるだろう。トリュフも名物だ。

 

日本でイタリアの各地方を打ち出したにレストランをやることは商売上難しく、「イタリア料理」とくくる事情はわかる。現地でも観光客向けのレストランでは各地の料理がごった煮になっていることもある。しかし、シチリア料理のイワシのマリネを注文し、ピエモンテのバーニャカウダをつまみ、ローマ料理であるカルボナーラ、ミラノ風カツレツなど何でもありのテーブルはワインも合わせにくいし、文化的な側面からは何とも言えない感覚を持ってしまう。こだわりもリスペクトもないような気がするのだ。

 

せめて北イタリア料理、南イタリア料理など特色を出してくれると楽しいし、シチリア、ナポリなど特徴をだしたレストランが少しずつ存在感を出してきていることは嬉しいことだ。

 

ちなみに、日本でも老若男女に人気のピッツァは、普通はイタリアのレストラン(リストランテ)に行っても食べられない。それはピッツェリアという専門店で食べるものなのである。



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