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山梨ワインの魅力|日本が誇る極上ワインのおいしさを大解剖!

2017.06.07



山梨ワインの魅力|日本が誇る極上ワインのおいしさを大解剖!

ワインの銘醸地といえば、かつてはフランスが筆頭でした。しかし、アメリカをはじめとしたニューワールドでも素晴らしいワインが造られるようになり、日本ワインも世界で注目されるようになっています。
そんな日本ワインの代表的産地の一つが山梨県です。白ワインの原料となる甲州は特に知られています。
山梨県ではいつからワインが造られるようになり、どのようなワイナリーがあるのでしょうか?今回は、山梨のワインについてご紹介します。

【目次】
1.世界に誇るワイン生産地・山梨
2.山梨固有のブドウ品種・甲州種とは?
3.山梨のワイナリー
4.進化する山梨ワインの今後に期待

世界に誇るワイン生産地・山梨





山梨県は日本が誇るワインの生産地です。明治時代に日本で初めてのワイン醸造場が誕生した県であり、今では国内で圧倒的なワイナリーの数を誇ります。

●ワイン造りは明治時代から
日本で本格的なワイン造りが始まったのは明治時代です。
ワインについて記されている日本の最も古い文献は、室町時代後期の公家日記『後法興院記(ごほうこういんき)』です。宣教師フランシスコ・ザビエルもポルトガルから鹿児島の地に赤ワインをもたらしたといわれます。
しかし、日本においてワイン造りは広がりを見せず、江戸時代にはもっぱら生食用のブドウが栽培されていました。1858年の日米修好通商条約をきっかけに、欧米の文化が日本に入ってくるようになり、ワイン造りにも目が向けられるようになりました。

●山梨県は日本ワインの発祥地
明治政府は、痩せた土地でも健全に育つブドウを原料とするワインに注目しました。米不足もあったためです。殖産興業政策の一つとしてワイン造りがすすめられる中、1870年、山梨県に日本初のぶどう酒共同醸造場が誕生します。山田宥教(やまだひろのり)と詫間憲久(たくまのりひさ)という人物が共同でワイン造りに取り組み、試行錯誤しながら本格的なワインの完成を目指しました。本格的にワインを仕込み始めたのは1872年ともいわれています。
山田宥教と詫間憲久は、西洋の本格的なワイン造りを真似ながら努力し続けました。醸造したワインを横浜へ出荷したり、ブドウの果皮を蒸留したブランデーを造ったりしたとされる記録もあります。その後、醸造場の経営は苦しくなり、二人は醸造用の機械や資金の援助などを訴える陳情書を政府に提出するものの、1876年に醸造場は廃業したとされます。

●ブドウ栽培に適さない日本の気候でどうして発展したのか?
高温多湿な日本は、ワイン用のブドウ栽培が難しい産地の一つです。ブドウの栽培を始めた当初、生産者たちの栽培技術が未熟だったこともあり、海外品種を持ち込んでも病害などに侵されてしまい、健全なブドウがなかなか育ちませんでした。
そこで、日本の風土に適したブドウを作るために、日本独自のブドウ品種の開発が始まりました。ブドウの品種改良に力を注いだのが、新潟県出身の川上善兵衛です。ヨーロッパやアメリカからブドウの苗木を多数取り寄せ、日本の気候風土に適する品種を探し続けました。
メンデルの遺伝法則をブドウに応用することを思いつき、試行錯誤の上、川上善兵衛が1927年に誕生させたのがマスカット・ベーリーAです。
その他、ブラック・クイーン、レッド・ミルレンニューム、ベーリー・アリカントAなど、川上善兵衛は現在の日本ワインの主力品種を多く生み出しています。このことから、川上善兵衛は「日本ワインの父」と呼ばれています。

●国内で圧倒的にワイナリーが多い山梨県
果実酒生産量でいうと、首位に輝いているのは神奈川県です。果実酒生産量には、日本で栽培されたブドウを使い、国内で醸造された「日本ワイン」だけでなく、海外産濃縮果汁やバルクワインも原料に含まれている国内製造の「国産ワイン」の生産量も入っています。神奈川県は横浜港のおかげで輸入原料が仕入れやすく、さらに大手メーカーがあるため果実酒生産量が多いのです。
しかし、国税庁課税部酒税課の「国内製造ワインの概況(平成27年度調査分)」によると、国内のワイナリー数は山梨県が他県に比べ圧倒的に多く、日本ワインを牽引する存在であることがわかります。

山梨県で造られるワインは、多くが甲州という白ブドウを使った白ワインです。国税庁課税部酒税課の「国内製造ワインの概況(平成27年度調査分)」を見ると、白ワインの原料に使用されている国産生ブドウ品種のうち、半分が甲州であることがわかります。
また、全国各地のワイナリーが仕入れた甲州のうち、約96%は山梨県のものです。甲州は山梨ワインの基軸といっても良いでしょう。

※参考:国税庁課税部酒税課「国内製造ワインの概況(平成27年度調査分)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/seizogaikyo/kajitsu/pdf/h27.pdf

山梨固有のブドウ品種・甲州種とは?


日本を代表するブドウ品種となっているのが山梨固有の甲州種です。ここでは、甲州種についてご説明します。

●仏教とともに伝来した品種
甲州ワインには、伝来にまつわる二つの説があります。一つは、8世紀ごろ、高僧である行基の霊夢に、手にブドウを持った薬師如来が現れたことに由来する説です。
もう一つは、雨宮勘解由(あめみやかげゆ)という人物が1186年に野生ブドウの変性種を発見し、それを改良して甲州種を生み出したという説です。甲州の明確なルーツはよくわかっていませんでした。

ところが2013年、「独立行政法人酒類総合研究所」の後藤奈美氏とアメリカの研究チームの共同研究によって、甲州種がヨーロッパ系ワイン用ブドウ、ヴィティス・ヴィニフェラであり、中国の野生種ブドウのDNAもわずかに含まれていることがわかりました。
この結果、コーカサス地方出身のヴィティス・ヴィニフェラがシルクロードを通って中国で交雑し、日本へ渡ってきたのが甲州種であると推測されるようになったのです。

●甲州種の特徴
甲州種は白ワイン醸造用の品種です。色はピンクがかった赤紫色で、果皮に厚みがあることが特徴です。
くせのない繊細な香りが最大の特徴とされ、青リンゴ、グレープフルーツなど柑橘系の香りで表現されます。
また、酸味が少なく穏やかな味わいであることが人気の理由の一つで、口当たりが良く、すっきりとした飲み口になります。渋みが出やすいともいわれていましたが、栽培、醸造技術の進歩によって程良いバランスに整えられるようになりました。

甲州種で造られたワインは、和食に合いやすいです。香りや酸、ボリューム感が控えめであることから主張しすぎず、繊細な和食の味わいに合うほか、鉄分が少ないため魚介類の生臭さを発生させず、刺し身や寿司との相性が良いからです。

●2010年、甲州がOIVにブドウ品種に登録される
OIVとは「Office International de la vigne et du vin」の略称であり、フランスに拠点を置くワインの国際的審査機関のことです。EUの国々へワインを輸出する際、使用されているブドウ品種がこのOIVに認定されていないと、品種をラベルに記載することができません。そのため、OIVへの品種登録は、甲州種が世界進出するのに乗り越えなければいけない壁でした。
2009年より生産者と県、そして国が一致団結して甲州種のOIV登録へと動き出し、2010年、厳しい検査などを経た結果、甲州種の品種登録がOIVに認定されました。ワインの本場であるEU諸国に対して、「Koshu」とラベルに記載して輸出することができるようになったのです。

●甲州ワインは国際ワインコンクールでも賞を受賞
OIV登録後、甲州ワインは多くの国際ワインコンクールで賞を受賞しています。
2012年にロンドンで開催された「International Wine Challenge」では、勝沼醸造の「アルガブランカ イセハラ2011」と「御坂 甲州 樽醗酵 2010」が銀賞を受賞。
同じく2012年開催の「Decanter World Wine Awards」では、アルプスワインの「Japanese style wine Koshu 2010」と中央葡萄酒の「グレイス 茅ヶ岳 白 2011」が銀賞を受賞しています。
また、2011年にフランス・ボルドーで開催された「Challenge International du Vin」では、サントリーワインインターナショナル 登美の丘ワイナリーの「登美 甲州 樽発酵2008」が金賞を受賞しました。
このほかにも多くの受賞歴があり、甲州ワインに世界各国から熱い視線が送られています。

山梨のワイナリー


甲州ワインの魅力を知ることができる、山梨の主なワイナリーを5つご紹介します。

●中央葡萄酒
「グレイスワイン」の名で知られ、国内で注目されているワイナリーの一つです。日本一日照量が多い場所として知られている明野村に、甲州をはじめ海外品種も栽培する三澤農場を有しています。
山梨県という立地を生かしながら世界を見据えた高品質なワインを製造しており、自社農場では高畝式の垣根栽培により甲州を作っています。その甲州種を使用した「キュヴェ三澤 明野甲州」は中央葡萄酒のフラッグシップワインです。
中央葡萄酒は数多くの受賞歴があり、2016年には「Decanter World Wine Awards」にて「グレイス エクストラ ブリュット 2011」がプラチナ賞・ベストアジア賞、「キュヴェ三澤 明野甲州 2015」が金賞を受賞しています。

●勝沼醸造
甲州市勝沼町にて1937年創業の歴史あるワイナリーです。石灰を使った土壌改良を行い、梅雨の時期にはブドウ一房ごとに傘をかける方式を採用するなど、常に品質の高いブドウを栽培することに心を配っています。
フランス・ボルドーのシャトー・パプ・クレマンと2007年に提携し、甲州種を使用した新しいブランドを立ち上げました。
アルガブランド、アルガーノブランド、勝沼醸造ブランドという3つのブランドがあり、「アルガブランカ イセハラ」は日本ワインの印象を凌駕する最高峰のワインとして知られています。甲州種だけではなく、メルローやマスカット・ベーリーAからも素晴らしいワインを生み出しているワイナリーです。

●シャトー・メルシャン
1877年に日本最古の民間ワイナリーとして創業された「大日本山梨葡萄酒会社」が前身です。国産ワインを多く造りながらも、高品質な日本ワインの製造も行っており、秋田県横手市大森地区のリースリング、長野県北信地区のシャルドネ、長野県塩尻市桔梗ヶ原地区のメルロー、山梨県の甲州種やマスカット・ベーリーAなどを用いて、契約農家とともに最高品質の日本ワインを生み出しています。
2004年から始まったボルドー大学デュブルデュー研究室との共同研究の結果、誕生した「甲州きいろ香」や「甲州グリ・ド・グリ」「甲州小樽仕込み」など、さまざまなタイプの甲州ワインが楽しめます。

●白百合醸造
「ロリアンワイン」の名で、甲州種をはじめ、マスカット・ベーリーA、海外品種などを使用したワインを生産する、甲州市勝沼町にあるワイナリーです。
スティルワインのほか、グラッパ、ノンアルコール、さくらやさくらんぼのワインなども販売しています。代表的なワインは、「ロリアン 勝沼甲州 2015」で、シュール・リー製法で旨味をたっぷりと引き出し、濃厚ながらすっきりした味わいが楽しめます。「日本で飲もう最高のワイン2016」の白・辛口部門で専門家ゴールドメダルを受賞するなど、コンクールでも受賞歴のあるワインです。

●ルミエールワイナリー
笛吹市一宮町にて、1885年に創業した古い歴史を持つワイナリーです。この土地は、土砂混じりで水はけの良い扇状地のため、棚仕立ての甲州種だけではなく、垣根仕立てでカベルネ・ソーヴィニヨンなどの海外品種も栽培されています。また、2004年からはビオディナミ栽培に取り組んでおり、より自然なブドウ作りを追求し続けています。
甲州種のスパークリングワインなども造っており、自社畑で作られた甲州種を長期熟成ワインに仕上げた「光 甲州」は重めの辛口タイプで特に人気が高いです。

進化する山梨ワインの今後に期待





OIVに登録された甲州を中心に、海外品種も含めたブドウで魅力的な日本ワインを生産する山梨県。県の主要ワイナリーで組織された「甲州ワインEU輸出プロジェクト」の精力的な海外へのアピール活動などが功を奏し、同組織に参画する甲州ワインの輸出量は確実に伸びています。
各生産者たちは、和食ブームや日本ワインブームに踊らされることなく、より高品質な「世界レベル」の甲州種を作る努力を続けています。日本のワインを応援すべく、高品質な山梨ワインにも目を向けてみてはいかがでしょうか。



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