SALON COLUMN

ワインに酸化防止剤が入っている理由と、無添加ワインとの違い

2017.04.19



ワインに酸化防止剤が入っている理由と、無添加ワインとの違い

市場で売られているワインのほとんどに、酸化防止剤が含まれています。酸化防止剤無添加のワインが登場していることから、日本では「酸化防止剤は体に悪い」というイメージを持つ人もいますが、果たして本当なのでしょうか。
そもそも酸化防止剤にはどのような役割があるのでしょうか。
今回は、酸化防止剤の役割と酸化防止剤無添加のワインについて詳しく説明していきます。

【目次】
1. ワインに入っている酸化防止剤とは?
2. 酸化防止剤の役割
3. 酸化防止剤無添加のワインとは?
4. 酸化防止剤への誤解を捨てよう

ワインに入っている酸化防止剤とは?


酸化防止剤とはどのようなもので、どんなタイミングでワインに入れられるのでしょうか。

●酸化防止剤とは
ワインボトルの裏に貼られているラベルに、「酸化防止剤(亜硫酸塩)」という文字が記載されているのを見たことはないでしょうか。市場に出回っているほとんどのワインに使用されている酸化防止剤は、正確には二酸化硫黄と呼ばれるものです。ラベルには亜硫酸塩と書かれています。

亜硫酸塩は、ワインの酸化を防止するだけでなく、食べ物を漂白する漂白剤としても使われることがあります。ワイン以外に亜硫酸塩が入っている食品は、例えばドライフルーツや甘納豆、ディジョンマスタードなどです。

ワインの場合は微生物の働きを抑えたり、酸化を防いだりするために、醸造過程で何回かに分けて亜硫酸塩が加えられます。亜硫酸塩のおかげで安心しておいしいワインが飲めると考えても良いでしょう。



●ワインを飲むと頭痛になる?
ワインを飲むと、頭痛になるという話があります。中には、赤ワインを飲むと頭が痛くなりやすく、白ワインはそれほどでもないという人もいます。
これまで、ワインを飲んで頭痛になるのは酸化防止剤が原因なのではないかとする説がありました。しかし実際は、亜硫酸塩ではなく、「ヒスタミン」や「チラミン」が頭痛を引き起こすという説が有力です。どちらもマロラクティック発酵という工程で発生する物質で、特に赤ワインに含まれています(※)。ヒスタミンは血管を拡張させる作用を持ち、一方のチラミンは血管を収縮させる作用を持っており、片頭痛の原因となることがあります。そのため、赤ワインを飲むと頭痛になることがあるのです。

白ワインの中にも、一部マロラクティック発酵が行われるものがあります。

●酸化防止剤が添加されるタイミング
酸化防止剤はブドウの段階、果汁の状態、アルコール発酵時、マロラクティック発酵時、ボトリング前などのタイミングで添加されるのが一般的です。
ブドウの果皮には多くの酵母菌が付着しており、それがワイン造りに大きな影響を与えますが、中にはワイン造りに好ましくない細菌などが付着していることもあります。
アルコール発酵を行う工程では、良い香りを出すために働く酵母と同時に、オフフレーバー(不快な香り)の原因になる物質も出てくるおそれがあるため、亜硫酸塩が添加されます。
ワインが酸素と触れることになるボトリング時も、ワインにとってはデリケートな瞬間です。
醸造の工程をワインが安全に乗り越えるため、亜硫酸塩で品質をカバーしています。

酸化防止剤の役割


ここでは、ワイン造りにおける酸化防止剤の役割について、さらに詳しくご紹介します。

●発酵前のブドウ果汁が傷んだり、雑菌が増殖したりするのを防ぐ
亜硫酸塩には殺菌効果があり、添加することにより雑菌の増殖などを抑えることができます。収穫したブドウは果皮に雑菌が付着しており、殺菌が必要です。
雑菌をそのままにしてワイン造りを行うと、発酵が途中で止まったり、ダイアセチルという不快なニオイが生成されたりしてしまいます。また、微生物汚染が広まれば、馬小屋臭といわれることがあるフェノレ、アセトアルデヒドの青臭い香り、酢酸臭などが発生し、ワインの味わいや香りに悪影響を及ぼします。
ブドウ果汁を殺菌し、オフフレーバーを防ぐために亜硫酸塩が添加されているのです。

●酸化による劣化を防ぐ
ワインは酸素に触れることで、さまざまな反応を起こします。樽熟成の場合は、樽内でごくわずかな酸素とワインを触れさせることにより、色素を安定させたり、まろやかさを出したり、香りの複雑さを高めるといった効果が得られます。
ワイン中のアルコールが酸素と触れ合うと酢酸が生成され、これが度を過ぎると、ワインは酸味が強いような味わいへと変わってしまいます。また、発酵中に発生するアセトアルデヒドは酸素と接触しすぎると、青臭い香りが発生します。
亜硫酸塩はアセトアルデヒドと結合して香りを抑えたり、オフフレーバーなどの要因物質の生成を抑えたりして、ワインが酸素に触れて劣化するのを防いでくれるのです。

●高品質なワイン造りに酸化防止剤は必要
酸化防止剤の役割を知ると、高品質なワインにも亜硫酸塩が使用されている理由がわかったのではないでしょうか。各ワインメーカーは「安全でおいしいワイン」を造るために、亜硫酸塩を使用しています。

酸化防止剤無添加のワインとは?


ほとんどのワインに酸化防止剤が添加されていると紹介しましたが、「酸化防止剤無添加」をうたうワインも販売されています。酸化防止剤無添加でも安全なのでしょうか。

●酸化防止剤無添加ワインとは?
酸化防止剤無添加ワインは、主に日本の大手ワインメーカーから販売されているものがスーパーでもよく見られます。「亜硫酸塩を全く使っていないワイン」というイメージは消費者ウケが良く、価格が安いこともあって日常的に飲みやすいワインとしても広がりを見せています。

●酸化防止剤無添加の製法
酸化防止剤無添加ワインの製法は各メーカーによって異なりますが、基本的にはアセトアルデヒドの生成量を抑えること、極力酸化させない状態にすることなどに気をつけて造られています。
例えば、アセトアルデヒドの発生を抑制する酵母を使用したり、良い香りの特徴を引き出す酵母を使用したりして、酵母を工夫しているところもあります。
その他、醸造工程の中で極力液体が酸素に触れないようにする、瓶詰めの際に酸素をあまり入れないようにするといった工夫が取り入れられています。
各社独自の工夫により酸化防止剤無添加ワインが造られているのです。

●オーガニックワインとは違う?
酸化防止剤無添加ワインとオーガニックワインは別物です。
オーガニックワインとは、EUにおけるオーガニックワインに関する規定を守って造られたワインのことです。オーガニック農法でつくられたブドウを用いるオーガニックワインは、既定の量までなら亜硫酸塩を使用することが認められており、亜硫酸塩を添加してはいけないという決まりがありません。
つまり、オーガニックワインにも亜硫酸塩は入っています。

●ビオロジック農法やビオディナミ農法でつくられたブドウを使ったワインは?
ビオロジック栽培やビオディナミ農法でつくられたブドウを使用し、亜硫酸塩を一切使用しないワインもあります。ただし、亜硫酸塩の使用量に規定はなく、使用されているものもありますので、酸化防止剤無添加ワインとしてくくるのは難しいでしょう。



酸化防止剤への誤解を捨てよう


どんな高級ワインにも酸化防止剤は入っており、酸化防止剤で頭痛になるという話は誤りとする説が有力です。
「安全でおいしいワインを飲んでもらいたい」という思いがあるからこそ、ワインメーカーは酸化防止剤を使用してワインの味わいを守っています。
亜硫酸塩を使いすぎているワインに関しては、亜硫酸臭という刺激臭が発生してしまいますが、高品質なワインを生み出す健全なワインメーカーではほとんどあり得ません。
酸化防止剤については敏感になりすぎず、ワインをおいしく楽しみましょう。



――――――――――  おすすめ記事一覧  ――――――――――

―――――― おすすめ記事一覧 ――――――



リースリングの名産地・ドイツワインの特徴と等級とは?


赤ワインに合うおつまみの選び方|チーズからチョコ、生ハムまで


ワインのフルボディとは?赤ワインの味わいを表す「ボディ」の意味


PAGE TOP
8,000円(税抜)以上ご購入で送料無料キャンペーン中