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ピノ・ノワールとは?ブルゴーニュから「新世界」まで魅了される理由

2017.04.19



ピノ・ノワールとは?ブルゴーニュから「新世界」まで魅了される理由

カベルネ・ソーヴィニヨンと並び、高品質な赤ワインの原料となっているブドウの品種がピノ・ノワールです。ピノ・ノワールの魅力に取りつかれたワイン醸造家は数知れず。愛好家からも圧倒的な支持を得ているこのブドウには、どんな秘密と特徴があるのでしょうか。
今回は「ピノ・ノワールの基礎知識を知りたい」という人向けに、ブドウとしての特徴や栽培に適した土地・気候、旧世界・新世界の産地をご紹介します。
この記事を最後まで読めば、きっとピノ・ノワールの虜になるでしょう。

【目次】
1. ピノ・ノワールの特徴とは?
2. 栽培が難しいとされたピノ・ノワール
3. 旧世界のピノ・ノワール
4. 新世界のピノ・ノワール
5. 国ごとに異なる印象のピノ・ノワールを楽しもう

ピノ・ノワールの特徴とは?


熱狂的なファンが世界中にいるピノ・ノワールには、どのような特徴があるのでしょうか。

●ピノ・ノワールの基礎知識
フランス・ブルゴーニュ地方を筆頭に、世界中でつくられている黒ブドウ品種です。非発泡性では主に赤ワインに用いられることが多く、発泡性のシャンパーニュやスパークリングワインにも用いられます。
小粒な果実のびっしり付いた小さめの房が、松かさ(松ぼっくり)の形に似ていることから、ピノ(pin=松)・ノワール(noir=黒)という名称が付いたともいわれています。
青みを帯びた黒色や深い紫色をしており、いずれの色の場合も果皮が薄いです。その薄さは、完熟しているときに雨が降ると、果皮が破れてしまうほど。果肉そのものはジューシーでフルーティーなため渋みが少なく、イチゴやチェリーの風味や、フランボワーズの華やかな香りなどが感じられます。

●フランス・ブルゴーニュ地方が原産
ピノ・ノワールは4世紀ごろには栽培されていたと伝えられ、その昔は「モリヨン・ノワール」と呼ばれていました。14世紀ごろのブルゴーニュ地方の文献に「ピノ」と呼ばれるぶどうの樹が記載されていることなどからも、ブルゴーニュ地方が原産とされています。

●突然変異を起こしやすい
数あるブドウ品種の中でも特に突然変異を起こしやすく、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、ピノ・ムニエなどはピノ・ノワールが突然変異した品種です。

●基本的にはピノ・ノワールのみで醸造される
スパークリングワインなどを除き、その繊細な味わいを引き出すためにピノ・ノワールのみで醸造されるのが基本です。世界中のワイン愛好家が憧れるロマネ・コンティもピノ・ノワール100%でできています。

栽培が難しいとされたピノ・ノワール


ピノ・ノワールの栽培は難しく、20世紀後半にカリフォルニアのワイン醸造家アンドレ・チェリチェフは「神がカベルネ・ソーヴィニヨンを創り、悪魔がピノ・ノワールを創った」という言葉を残しました。

●ブルゴーニュ以外では造れないとされてきた
他の品種では出せない、ピノ・ノワールのおいしさに魅了された世界中の醸造家たちは、各地で栽培を試みました。しかし、栽培する気象や土壌には条件があり、病気になりやすいなど、デリケートな品種であるため、栽培技術がまだ発達していない頃は「ブルゴーニュ以外でピノ・ノワールは造れない」とされてきました。

●ピノ・ノワールに適した気候、土壌
他の品種よりも比較的早く熟すピノ・ノワールは、寒さにも強い品種です。暑すぎるとブドウの熟成が早まってしまい、ピノ・ノワールの良いところを最大限に引き出すのが難しくなります。
冷涼で乾燥した気候の中でゆっくりと育て、熟していくことが大切です。水はけがよく石灰質の割合が多い、粘土・石灰質の土壌がピノ・ノワールの栽培に適しています。

●現在は世界中で栽培されている
フランスはもちろんイタリア、ドイツなどの旧世界にとどまらず、アメリカ(オレゴン州やカリフォルニア州など)、アルゼンチン、チリ、ニュージーランド、ブラジルなどの新世界でも栽培されています。



旧世界のピノ・ノワール


ヨーロッパを中心とした旧世界でピノ・ノワールはどのような位置づけとなっているのでしょうか。フランス・イタリア・ドイツのピノ・ノワール事情をご紹介します。

●フランス
【主な産地】
銘醸地コート・ドールの北半分にあたるコート・ド・ニュイには、グラン・クリュやプルミエ・クリュが点在しています。コート・ド・ニュイで造られるワインのほとんどはピノ・ノワールからできた赤ワインで、そのクオリティや希少性は世界最高峰といわれています。ジュヴレ・シャンベルタン、ロマネ・コンティなどが有名です。

また、フランス北東部にあり、ドイツと国境を接するアルザス地方でも、冷涼な気候を生かしてピノ・ノワールが栽培されています。アルザス地方といえばリースリングなどを使用した白ワインが知られていますが、ピノ・ノワールを用いたフレッシュな赤ワインも生産しているのです。高品質でありながら、比較的安価で入手することができます。
コスト・パフォーマンスの優れた赤ワインを求めている人には、おすすめの産地です。

【ピノ・ノワールを使った代表的なワイン】
ロマネ・コンティを筆頭に、ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニー、クロ・ド・ヴージョなど数限りなく挙げられます。また、シャンパーニュ地方で有名なドン・ペリニヨンにも、シャルドネと合わせてピノ・ノワールが使用されています。

●イタリア
【主な産地】
イタリアではピノ・ノワールを「ピノ・ネロ」と呼び、主に北イタリアの冷涼な地域でブルゴーニュにも負けない良質なピノ・ネロが栽培されています。
ロンバルディア州でシャンパーニュと同じ製法で造られる、イタリア版シャンパーニュ「フランチャコルタ」の原料にも、シャルドネやピノ・ビアンコとともにピノ・ネロが用いられています。使われているのは、フランチャコルタの中でもロゼ、ブランドノワール、ミッレジマート、リセルヴァです。

【ピノ・ネロを使った代表的なワイン】
イタリア北西部に位置し、イタリア20州で最も小さなヴァッレ・ダオスタ州の中でも、屈指の造り手であるグロジャン・フレールの「ピノ・ノワール ヴィーニャ・ズリアット」が挙げられます。
その他、オーストリアに国境を接しているトレンティーノ・アルト・アディジェ州を代表するピノ・ネロの使い手フランツ・ハースが造る「A.A. ピノ・ネロ シュヴァイツアー」などがあります。

●ドイツ
【主な産地】
ドイツではピノ・ノワールを「シュペートブルグンダー」と呼びます。国全体が寒冷な地域のため、比較的温暖な南部でブドウ栽培が盛んです。西はフランス、南はスイスと国境を接しているドイツ南部バーデン地方では、エレガントな味わいの高品質なシュペートブルグンダーが栽培されています。
中でも有名な造り手に、バーデン地方マルターディンゲン村にワイナリーを構えるベルンハルト・フーバー醸造所があります。前当主のベルンハルト・フーバーは、マルターディンゲン村の土壌がブルゴーニュ地方のコート・ド・ニュイに似ていて、かつてはシュペートブルグンダーの産地だったことを知り、栽培を始めました。それまでは甘口の安ワインが多く造られていましたが、ベルンハルト・フーバーの努力により、ドイツでも最高峰のシュペートブルグンダーのワインが造られるようになったのです。

【シュペートブルグンダーを使った代表的なワイン】
ベルンハルト・フーバーはシュペートブルグンダーの房の半分をカットするなどのこだわりで、ブドウ一粒一粒の凝縮感を高めていきました。そんなこだわりが詰まった「ヴィルテンシュタイン『R』」はドイツを代表する1本と言えるでしょう。

新世界のピノ・ノワール


今では旧世界にクオリティ、希少性ともに迫る勢いを持つ新世界では、ピノ・ノワールがアメリカやニュージーランド、チリなどで栽培されています。

●アメリカ
【主な産地】
2004年にアメリカで公開された映画『サイドウェイ』がおそらくきっかけとなり、カリフォルニア州を中心にピノ・ノワールがブームになりました。その人気は未だ衰えることがありません。生産数量こそカベルネ・ソーヴィニヨンには及びませんが、カリフォルニアよりも北に位置するオレゴン州やワシントン州などでもピノ・ノワールが栽培されています。
カリフォルニア地方の北西部にあるソノマ・カウンティでは、ナイツ・ヴァレーやアレキサンダー・ヴァレーなどの細かな地域に分かれてワインが造られています。
ソノマ・カウンティの東側に位置するのが、有名なナパ・ヴァレーです。冷涼な地域のため、カベルネ・ソーヴィニヨン以外に良質なピノ・ノワールがつくられ、カリフォルニア最大のピノ・ノワール栽培地域となっています。

【ピノ・ノワールを使った代表的なワイン】
ソノマ・カウンティにある生産地の一つソノマ・コーストの中でも、トップクラスのワイナリーといわれているのが、フラワーズです。ブドウの育苗業からワイン醸造家に転身したフラワーズは、「ブドウの栽培には適さない」とされたソノマ・コーストに、それまでの常識では考えられない高地にブドウ畑を開墾。照りつける太陽と冷涼な気候による寒暖差が最良の環境となり、ピノ・ノワールの栽培が可能になりました。そんなフラワーズの「ピノ・ノワール キャンプ・ミーティング・リッジ」は、カリフォルニアワインを代表する1本といえるでしょう。

●ニュージーランド
【主な産地】
ピノ・ノワールの栽培にフランス以外で初めて成功した国が、ニュージーランドと称されています。そのきっかけとなったのが、1978年に政府主導で行われたブドウの栽培に適した土地の調査です。調査の結果、ニュージーランド北部マーティンボロが、気候も土壌もブルゴーニュに近いことがわかりました。数年後、調査に参加していた人物が実際に栽培に着手し、ピノ・ノワールがつくられるようになりました。

また、ニュージーランドの最南端にあるワイン産地のセントラル・オタゴ地区も、優れたピノ・ノワールを生産しています。世界中のワイン評論家や愛好家から、フランスのブルゴーニュ、アメリカのオレゴンと並んで世界三大ピノ・ノワール産地と称されています。

【ピノ・ノワールを使った代表的なワイン】
「ニュージーランドのロマネ・コンティ」とまで称されるのが、アタ・ランギです。「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション」にて最優秀ピノ・ノワール・トロフィーを3度受賞したのをはじめ、世界各国のワイン批評誌、ワインジャーナリストからも高評価を獲得しています。このアタ・ランギが造るワイン「アタ・ランギ ピノ・ノワール」はその代表格でしょう。

●チリ
【主な産地】
チリは南北約1400キロメートルにも及ぶ細長い国土のため、ブドウ栽培の地域は大きく北部、中部、南部に分かれています。その中でも中部に位置するカサブランカ・ヴァレーは傾斜地で、朝には霧が立ち込め、冷たい海風が吹き抜ける冷涼な土地です。そのため、ピノ・ノワールの栽培に向いています。

【ピノ・ノワールを使った代表的なワイン】
チリを代表する「モンテス」は、ボルドーの5大シャトーにも引けを取らないとされるワイン「モンテス・アルファ・エム」を造るワイナリーです。そのモンテスがカサブランカ・ヴァレーのピノ・ノワールで造る「モンテス・アルファ・ピノ・ノワール」は、低価格ながらもクオリティの高さからチリを代表するワインとされ、エアラインのファーストクラスなどでもサービスされています。



国ごとに異なる印象のピノ・ノワールを楽しもう


世界中のワイン愛好家はもちろん、ワイン醸造家からも熱狂的な支持を得ているピノ・ノワール。冷涼な気候や粘土・石灰質の土壌などが必要で気難しい品種のため、簡単に栽培することができません。その分、ワインとなった1本には、造り手の並々ならぬ努力が詰まっているといえるでしょう。また、単一品種でワインが造られることが多いため、土地ごとに異なる印象を楽しめるのもピノ・ノワールの魅力です。
ひとたびコルクの栓を抜けば、かぐわしさに満ちあふれた一杯を堪能することができますよ。



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