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デキャンタの使い方|ワインを「開かせる」デキャンタージュとは?

2017.04.19



デキャンタの使い方|ワインを「開かせる」デキャンタージュとは?

レストランでワインをオーダーすると、ソムリエから「デキャンタージュ」を提案される場合があります。デキャンタージュとは、「デキャンタ」と呼ばれる専用のガラス容器にボトルのワインを移し替えることです。
ワイン好きなら多くの人が知っているデキャンタージュですが、ワインの勉強を始めたばかりで「聞いたことはあるけど、どんなワインに必要なのかわからない」「自分でもできるの?」と思う人もいるのではないでしょうか。
今回はデキャンタージュの基本から、デキャンタージュに適したワイン、自分で行う際の方法とポイントをわかりやすく解説します。

【目次】
1. デキャンタージュが必要な理由
2. デキャンタージュが必要なワインとは?
3. デキャンタージュの方法
4. デキャンタージュでワインの味わいをより深く、より豊かに

デキャンタージュが必要な理由


「デキャンタージュ」(decantagē)とはフランス語で、ワインをデキャンタに移し替えることをいいます。
「カラフェ」もデキャンタと混同されることがありますが、こちらはワインの容器と限定せずに使われる「水差し」という意味のフランス語です。
デキャンタの場合はワインのデキャンタージュ専用の容器なので、ワイン一本以上の容量があり、ワインの状態によって適した形を選べるように異なる形状があります。
カラフェの場合は、ワインの状態に応じて容器を移し替えるというよりは、ボトル売りのワインの半量を注いでハーフボトルとして提供する場合や、ハウスワインをグラスに分けやすいようワインボトルから移し替えるなど、サービスのしやすさやテーブルの演出のために用いられます。

抜栓したワインの瓶底には澱(おり)が沈殿していることがあります。澱を残したままワインを別の容器に移し替えてサービスすることで、澱が舞ってグラスに入ってしまうのを防ぐのが、デキャンタージュの目的の一つです。それと同時に、ボトルからデキャンタに注がれる際にワインが空気に触れると、酸化が促進されてワインの豊かな香りを引き出すことができます。ワイン用語で「閉じている」と表現されるような、タンニンや酸味が突出して感じられ、香りに広がりのないワインであっても、デキャンタージュによってタンニンを和らげ、そのワイン本来の華やかな香りを取り戻すことができるのです。
このように、酸味やタンニンがまろやかになり、複雑な香りが豊かに広がった状態を、そのワインの魅力を最も楽しめるという意味で「開いている」と表現します。抜栓したてから「開いている」状態を楽しめるワインもあれば、抜栓してから2~3時間置くなど、ゆっくり時間をかけないと開かないワインもあります。フレッシュな若飲みのワインから長期熟成型の偉大なワインまで、さまざまなヴィンテージや個性を持つワインを、ベストなコンディションで楽しむために役立つのが「デキャンタージュ」なのです。

デキャンタージュが必要なワインとは?


デキャンタージュが必要なワインとは、「澱を取り除く必要がある」または「閉じている香りを開かせたいワイン」ということになります。詳しくご紹介しましょう。

●デキャンタージュが必要なとき
赤ワインの場合、澱は酵母が熟成中に変化して沈んだもの、色素成分(タンニンなど)が酸化して瓶底に沈殿したものなどです。一般的には、瓶詰め後にある程度の熟成期間を置いたワインで、なおかつタンニンや酸味が強く骨格のしっかりとしたワインに澱が生じやすいといえます。白ワインでも、酒石酸とカリウムが結合して結晶化したことによる澱が見られる場合があります。
一般的なワインの瓶底のくぼみ、ボルドータイプのボトルであれば瓶の肩の部分には、もともとワインを注ぐ際に澱が引っかかって止まるように工夫がされています。しかし、古いヴィンテージのワインなどで澱が多かったり、色が濃いワインで澱が分かりにくかったりすると、誤ってグラスに注いでしまい澱が口に入るおそれがあります。
何度もワインをグラスに注ぐためにボトルを上下すると澱が舞ってしまうので、抜栓してすぐにデキャンタージュし、澱を分離してしまえば、心配することなくワインを楽しめます。

一方、香りを開かせるためのデキャンタージュの場合、状況は少し異なります。
骨格のしっかりした赤ワインは、飲み頃になるまでに数年、ものによっては数十年と、熟成期間を置く必要があります。瓶の中でゆっくりと熟成が進んで酸味や渋みがまろやかになり、味わいに奥行きが出るようになったら、飲み頃といわれる状態です。しかし、飲み頃かどうかの見極めは簡単ではないので、抜栓したものの飲み頃の少し手前のまだ「硬い」状態だったという場合もあります。こうしたときにデキャンタージュを行うと、瓶の中でゆっくりと進んでいた熟成を、空気に触れさせて一気に進め、飲み頃の状態に近づけることができます。

比較的カジュアルな若いワインでも、デキャンタージュが有効なケースがあります。例えば、抜栓後のテイスティングで尖ったタンニンが目立ってバランスが悪く感じられたワインや、香りのボリュームが控えめだと感じられるようなワインです。デキャンタージュによってタンニンのニュアンスを柔らかくしたり、香りを立たせたりして、そのワインの欠点をカバーすることができます。ただし、そのワインの「開いた状態」をどれくらいキープできるかは、それぞれ異なります。特に、オールドヴィンテージのデリケートな味わいのワインは香りが開いた状態が長続きせず、酸が立ちすぎたり、香りがぼやけてきたりと、時間が経つにつれて味の構成が崩れるおそれもあります。急速に開かせた分、劣化も早いということがあり得るので、食事のペースとワインのコンディションが合うようにコントロールが必要です。

●デキャンタージュしなくても大丈夫なとき
デキャンタージュが必要な場合を踏まえると、熟成したワインであっても澱が気にならず、香りも十分に開いているときは、デキャンタージュしなくても良いと考えられます。「香りが閉じている」「少し硬い」と感じられるワインでも、時間をかけて味わいの変化を楽しみたいときは、デキャンタージュの必要がありません。

また、スパークリングワイン白ワインは基本的にデキャンタージュを行う必要はありません。スパークリングワインの命ともいえるきめ細やかな泡立ちは、ボトルから移し替えると大きく損なわれてしまいます。
白ワインは赤ワインと違ってタンニンを感じることが少なく、低めの温度で心地よい酸味や喉ごしを楽しむのも魅力の一つです。白ワインでデキャンタージュを行うと繊細な香りが失われたり、過度に酸化が進んで酸味が強まったりするおそれもあるので、赤ワインのように良い方向へ劇的に変化することは必ずしも期待できません。
しかし、例えばブルゴーニュなどの長期熟成型の白ワインやヴィンテージ・シャンパーニュなど、一部の例外的なワインでは、デキャンタージュを行う場合もあります。グレードの高い白ワインは、赤ワインのように香りが開くまでに時間のかかるものがあるためです。すぐにワインの状態をピークに持って行きたいときや、セラーや冷蔵庫から出したばかりで「すぐ飲むには温度が低すぎる」と感じるようなときに、白ワインでもデキャンタージュを行うことはありますが、稀なケースです。

デキャンタージュの方法


デキャンタージュは自分でも行えます。オールドヴィンテージの場合と、香りを開かせたい場合で気を付けたいポイントが異なるため、注意が必要です。

●準備するもの
抜栓したワイン、きれいな乾いた布巾、デキャンタ(今回は写真の形状を想定)、澱のあるワインを扱う際はライト(懐中電灯でも電気スタンドでも、固定して手元を照らせれば可)を準備しましょう。
熟成したワインの場合は、抜栓する前に最低でも一週間は瓶を立てた状態で保管し、澱を瓶底に沈めておきます。



●デキャンタージュの方法
1)抜栓したワインのボトルの口を布巾できれいに拭います。

2)利き手にワイン、反対の手にデキャンタを持ち、澱のあるワインの場合はライトがワインボトルのネック部分に下から当たるようにセッティングします。光源とボトルネックの部分、自分の目が一直線になるように設置するのがポイントです。

3)ワインを持つ手は脇を締め、ボトルの重みで手が震えないようにしっかりと支えましょう。デキャンタを持つ手は上部のくびれた部分を握り、親指を立てるようにしてワインのボトルネックに添えます。
こうすることで、万が一ボトルを持つ手が震えても、添えてある手の親指で押さえて安定させることができます。

4)ボトルを静かに傾け、ワインを注ぎ始めます。デキャンタも斜めに倒し、液体がデキャンタの首部分を静かに伝って流れ落ちるのを確認しながら、一定の速度でワインを注ぎます。
澱のあるワインはあくまでも静かに、ボトルの角度をつけすぎて澱が舞わないように気を付けましょう。

5)ボトル内のワインが少なくなってきたら、ライトによって照らし出されたネックの部分を注視し、澱がデキャンタに入らないように細心の注意を払います。これ以上注ぐと澱が入ってしまうというギリギリのラインで注ぐのをやめ、そっとボトルを立てて口を離します。

・澱のないワインの場合
少し勢いをつけてワインをデキャンタの内側に当てるように流すと、内側の壁に沿って広がりながら液体が流れ、空気に触れる面が広くなるので香りの立ち方も良くなります。デキャンタージュを終えてからデキャンタ内でワインをスワリングし、空気に触れさせるのも有効です。


「澱のあるワイン」「オールドヴィンテージのワイン」「若いワイン」で、扱い方に違いはありますが、手順そのものは同じです。自分でデキャンタージュを行う際は、抜栓直後のワインをテイスティンググラスに少量残しておいて、デキャンタージュ後のワインと飲み比べてください。香りの広がり具合や味わいの変化を実感できるはずです。



デキャンタージュでワインの味わいをより深く、より豊かに


「澱を取り除く」「香りを開かせる」といった目的のために行われるデキャンタージュは、その場の雰囲気を盛り上げる演出にもなります。デキャンタに注がれ、色鮮やかに流れ落ちていくワインを眺めるうちに、これから飲むワインへの期待感が高まるに違いありません。
パニエからのサーヴでゆっくりと楽しむのも素敵ですが、ワイン好きならエレガントなデキャンタージュに憧れる人も多いはず。今回の記事を参考に、自分でもトライして、デキャンタージュの魔法を体験してみてはどうでしょうか。



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